第一話テキストコメンタリー

第一話テキストコメンタリー

 

それでは第一話のテキストコメンタリーを始めていきます。
第一話はこのお話の主人公テムとキーキャラクターのポーが出会うという、
全体のプロローグ的なお話です。
最初なので、作品のスタイルやアニメーションの作り方等、
全体に言えることもお話ししていこうと思います。

1.本の挿絵から飛び出して

では早速始めていきます。
「ちいさな灯り」のタイトルのあと、
ナレーションとともに物語が始まっていく訳ですが、
ここで切り絵アニメーションを期待していた人は

「おや?」と思ったかもしれません。
まずはこの作品のちょっと変わったスタイルについて

簡単にご紹介しましょう。

 

この作品では各話が、

イラストと音声によって 紙芝居のように進むパートと
切り絵アニメーションによって進むパートの二つで構成されています。
イラスト部分は本の挿絵をイメージしたレイアウトになっていて、
通称「挿絵パート」と呼んでいます。

 

本の挿絵をイメージした「挿絵パート」

 

大まかには「挿絵パート」によって物語が進行し、
そのお話の魅せ場で、本の中の世界に入っていくように
「アニメパート」になる、という流れです。

 

切り絵アニメーションによる「アニメパート」

 

このような構成になったのは30分という長いお話を
短期間で作らねばならない必要性に迫られてのものでしたが、
もともとこの作品は児童文学や絵本のような雰囲気を
イメージしていたものでした。
なので画面中に枠や文字を配し、挿絵本の中で
息づいている世界のような表現が面白いのではと思ったのです。

 

挿絵パートのレイアウトスケッチ

挿絵パートのレイアウトスケッチ

挿絵パートのレイアウトスケッチ

挿絵パートのレイアウトスケッチ

 

絵はペンで描かれたものに後からPC上で彩色したものです。
昔の印刷物の様に色面が線とは微妙にズレている版ずれ風に塗っていたり、
子供を楽しませる為に描かれた挿絵の工夫に倣って、
色合いの鮮やかな画面を心がけるなどしています。

原画はインクとペンで描かれています。

原画はインクとペンで描かれています。

原画はインクとペンで描かれています。

原画はインクとペンで描かれています。

 

絵のスタイルや表現の手法を決めるにあたっては、
多くの挿絵本や絵本を見ています。
E・H・シェパードの「クマのプーさん」、

トーヴェ・ヤンソンの「ムーミン」、
モーリス・センダックの「かいじゅうたちのいるところ」など、
素敵なペン画に彩られた作品にはおおいに刺激を受けました。
また17世紀、俗に「挿絵の黄金時代」といわれた時代に描かれた
数々の挿絵画家達の作品も参考になりました。

影響を受けている本

影響を受けている本

 

日本の作品でいうと、戦後子供向けに発刊されていた
絵雑誌「コドモノクニ」は作家の創意工夫が見てとれ、
これを見て「やはり日本語は縦書きの方が綺麗だ」と思い、
画面中の文章を当初イメージしていた横書きから縦書きへと変更し、
小学校低学年レベル以外の漢字や、見た目に固い印象になる漢字を
ひらがなに『開く』など、
少しレトロで子供向けの作品という雰囲気を強めました。
このようにめくるめく挿絵の世界の魅力にハマるにつけ、

その表現や工夫を作品中に活かしていくようになったのです。

コドモノクニ

文字を並べたときの印象を見て、漢字とひらがなのバランスを決める

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