4.泉のダンスと「月の光」

いよいよ第三話の魅せ場、泉でのダンスシークエンスです。

 


このシーンの背景は泉の草や樹だけだったので、
第二話の素材作りにとても長い時間と労力がかかったのに比べれば
背景の素材作りは比較的楽なものでした。

 


この作品を作るとき、映像面で最もやりたかったのは、
水を美しく表現することでした。
水の流れと夜空の星は、特に強く魅かれるモチーフで、
思い入れも強く、この作品でも至るところに出てきます。
結果的に、今作で獲得した水の表現は、
この作品を一段と魅力的に見せてくれました。

 


ネラが泉の中の浮島をぴょんぴょんと跳んでいくカットや、
ポーが小さな滝が流れる場所で水面を覗き込むカットは、
特に気に入っています。


この泉でのダンスシーンは、
詩的な映像美を魅せる為に作られたもので、
構想の初期から取り入れることを決めていたシークエンスです。
このシークエンスに大きな影響を与えているのは、
ディズニー映画「ファンタジア」において、
ほぼ完成に近い形まで作られながら
結局は編集段階で本編から削られることとなった
ドビュッシーの「月の光」のシークエンスでした。
(DVDの特典映像として観る事が出来ます。)
この映像の静かながらも力強い美しさは、
泉の背景美術や、最後月が浮かぶ夜空を見上げるカットなどに、
その影響を残しています。
もし興味があれば見比べてみてください。

 

 

以上で第三話のテキストコメンタリーもおしまいです。
次回でいよいよ最終話。
作品全体のテーマなども、お話ししていこうと思います。
ではまた次回。

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