三度目まして。
今回は第三話「月あかりのネラ」のテキストコメンタリーです。
このお話の泉の上でのダンスシーンは、
全編の中で最も叙情的で美しいシークエンスに
なっているんじゃないでしょうか。
僕自身一番お気に入りのシーンが多いのが、この第三話です。
冒頭2カット目のイラストは個人的にお気に入りの一枚です。
「後ろ姿」というのは、何かしら含みを持った印象を与えてくれます。
第一話のコメンタリーで書いた「シルエット」演出に
似たものがありますね。
このカットでは遠くから聴こえてくる音色を聴いているんですが、
耳を澄ましていないと聴き逃してしまうかもしれません。
このお話ではこういった繊細な音に工夫が凝らされているので
是非意識を耳に集中してじっと聴いてみてください。
サブタイトルコールのあと、第二話でも登場したフウリが現れます。
フウリは舟こぎで、森の住人達を乗せて
色んなところへ運んであげるのが仕事です。
フウリのイメージの変遷も色々ありました。
というかこの作品ではポーだけにはっきりとしたビジョンがあって、
他のキャラクター達は本当に手探り状態でした。
フウリはどこか達観していて、テムを導くという位置づけなんですが、
初期のスケッチを見るとそうは見えませんね。
おっちょこちょいの新人ゴンドラ乗りって感じでしょうか。
名前もフウリではなくフーリでした。
初期のフウリは容姿的にペスカと同じ種族、
もしかしたら親戚かもな〜と考えていました。
まあ種族とかいう括りについては
そんなハッキリ決めている事は何もないんですが。
フウリの舟に乗って川をくだるシーンも、お気に入りの一つです。
ここでも川の流れにじっと耳を傾けてみてください。
森の空気も感じられそうな心地良い音が聴こえてくると思います。